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っていうか、中忍になりました。 「失礼します。アスマ上忍はいらっしゃいますか?」 と、勢いよく言ってみたものの、そこにアスマ兄ちゃんの姿はなかった。あれぇ?普通ならここにいるだろうに、おっかしいなあ? 「どうしたっ!!アスマに用か!?」 キョロキョロしていると目の前に現れたのは、濃ゆい眉毛と恰好をした人だった。 「あ、はい、しかしここにはおられないようなので出直してきます。ありがとうございました。」 俺は頭を下げて部屋を出ようとした。 「まあ待て、君はこの間の中忍試験に参加した者だろうっ!?」 よく解ったなあ。あ、でも中忍試験は里を上げての大々的なイベントみたいなものだから知っている人も少なくはないのかもしれない。 「あ、はい、おかげさまで、本日をもって中忍に正式に登録されました。それで懇意にして頂いているアスマ上忍にもご報告をと思ったのですが。」 「そうかそうか、立派な心がけだなっ!!恩義ある人に報告するのはイカス男への一歩だっ!!」 なんか、熱い人だなあ。見かけはまだ青年だろうに、その濃さでなんだか人生を卓越しているのではないかと思わせる雰囲気がある。アスマ兄ちゃんと違う風合いでここまで貫禄のある人も珍しい。 「アスマは今少し席を外しているがまた戻ってくる。何せこの後俺とツーマンセルで任務をすることになっているからなっ!」 おいおい、任務前に班構成を口に出していいのか?ここが上忍待機室で、他には数人しかいないし、きっと誰も裏切る者はいないんだろうと理解できるけど、機密保持っていうか、もう少し控えめに話してもいいのでは?という心の中の危惧を言えるわけもなく、俺は任務前だったと言うことに少々の申し訳なさを感じた。 「そうでしたか、任務前にすみません。」 「何を謝ることがあろうかっ!喜ぶべき時は諸手をあげて喜ぶべきだっ!!しばらくはここで待つといい。」 何を言ってるんだこの人はっ。中忍なんだから足を踏み入れるのでさえかなりの覚悟をしたって言うのにそこに居座るなんてできるはずがないだろうに。 「何を遠慮しているのだっ。お前は木の葉の里を担う忍びとして偉大な一歩を踏み出したのだ。この喜びは人生の中でも最上とも言えるだろう。さ、ソファにでも座って待ちたまえ。同じ木の葉の忍、何も恥ずかしがることはないっ。」 いや、恥ずかしいんじゃなくて、階級とか、待機所なんだからあんまりうるさくしたらいけないんじゃないかなあ、とか気を遣ったつもりだったんだけどなあ。 「そういえば君、名前はなんだったかな?すまない、中忍試験は見ていたのだが名前は忘れてしまった。」 ははははは、とさわやかに笑う目の前に人に俺は慌てて立ち上がって言った。 「これは失礼を、うみのイルカです。上忍の方には、これからご指南、ご指導の程よろしくお願いします。」 「うむ、礼儀正しいな、イルカ。俺はマイト・ガイだ!これから任務先で一緒になることもあるだろう。その時はお互いがんばろう!!」 「はいっ。」 なんか、いい人だな。ちょっと強引だけど好感が持てる。 “ 今日、行くよ ” カカシの声で微かに囁かれた言葉に俺は目を閉じて笑みを浮かべた。 「イルカ、今の式は?大変美しく繊細で芸術的だったが。」 目を開けてガイ上忍を見ると、腕を組んで感心している。上忍の人をも感心させる程の技術なのか、あの式は。 「友人のものです。俺が中忍になったって聞いたみたいで、」 「ほう、友人か。あそこまで緻密に計算された式はなかなかお目見えすることはない。よほど卓越した者だろう。心根も美しいのだろうな、あの純白に輝く色は心を和ませる。」 言われて、俺は満足げに微笑んで頷いた。そうなんですっ、あいつは優しい奴なんですっ。 「一度会ってみたいものだなっ!!」 ガイ上忍はえらくあの式をお気に召したようだ。 「ではいつかご紹介しますよ。」 「うむ、頼む。」 言うとガイ上忍はキラリと歯を見せて笑った。 「お、イルカじゃねえか。こんな所で何してんだ?」 「この度中忍に合格しましたので、恩義のあるアスマ上忍にご報告をしたく、はせ参じました。」 「なーにかしこまってんだよっ。中忍になったってな、聞いてるよ。よかったなぁ。」 アスマ兄ちゃんはがしがし俺の頭を撫でまわした。嬉しいけど、俺は犬っころじゃねえっつの! 「アスマ、青春を謳歌している所をすまんが、そろそろ任務に行かなくてはならない時間だ。すまないな、イルカ。」 うわっ、上忍に謝られちゃったよ俺。大体押しかけたのは俺の方なんだしっ。俺はわたわたしてぶんぶんと首を振った。 「と、とんでもないっ、俺の方こそっこんなところまで押しかけてしまって、」 「なあに、気にするなっ、誘ったのは俺だっ!」 うん、まあ、その通りなんですけどね。 |